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龍泉閣スタッフブログ夕方に寺町界隈にある『念仏寺』に行ってきました。
今日の気候は、少し早い夏を感じさせます。
「今年もそろそろ咲いているかなぁ・・・。」
「こんにちは?!」
念仏寺の住職(以後、げんちゃんと呼びます。ごめんなさい。)が出迎えてくれました。
「今年は咲きましたかぁ?」
「うん、ちょうどよかったわぁ。昨日一輪咲いて、今日は五輪咲いたよ。」
「え?!見せてください!」
「どうぞどうぞ。」
(本当は拝観料500円、ほうじ茶、お菓子付ですが、今回は取材ということでそのまま見せていただきます。)
念仏寺の本堂の奥にある『沙羅樹園』に案内してもらいました。
「お!咲いてる!」
沙羅の花がきれいに咲いています。
静かな時間が流れます・・・。
やっぱり、有馬温泉は初夏がいいです。
沙羅の木の両脇には、『雀石(すずめいし)』と
『蛤石(はまぐりいし)』があります。
「何でこんなとこにこんな石があるんかなぁ?」
「それはなぁ…」
ここからは、源ちゃんのお話です。
「念仏寺と向かいの極楽寺には、もともと、豊臣時代に、太閤さんの湯殿と、ねねさんの別邸があったのを、徳川時代に浄土宗のお寺(念仏寺・極楽寺)を建てて、秀吉の気を消したと思うねん。
ところが、その寺を建立した時に豊臣方の庭師かなんかが、秘密の思いを込めてこの石を置いて、沙羅双樹を植えたと思うねん。
この石は、向かって右を『蛤石』、左を『雀石』と呼んで、中国のことわざ、『雀は海に入り蛤となる』を表現したものと言われてんねん。このことわざは、物事が大きく変化することの例えで、今の徳川政権もいつ大きく変わるかわからないよ・・・という意味を込めてると思うねんな。
だから、その石の間に、沙羅双樹を植えたと思うねん。平家物語の冒頭に出てくる『沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす』は、朝咲いて夕方には散ってしまうことから、世の無常を象徴していると言われとるやろ。だから、この沙羅の木も、『時代はいつか変わる』という意味を込めてると思うねん。
あと、この沙羅の木の後ろには、阪神大震災ごろまで、紅葉の大木もあってんでぇ。」
「そうなんですか!」
「ちょっと前の絵葉書に一枚だけ写ってんねん。」
確かに、木がもう一本写っています。
「この紅葉は、芽が出だした時は、赤くて、秋が深まるとともにだんだん緑になっていく種類やねん。珍しいやろぉ。これも、沙羅の花と同じで、諸行無常、世の中のものはいつかは儚く終わっていくと言う意味を込めていると思うねんな。」
「ほうほう・・・」
「さらに、寺の表の額を見てみぃ…」
「『石蜃館』って、書いてあるやろ。
この『蜃』っていう字は、蜃気楼のなかの一文字で、蜃気楼は、もともと、大蛤から気がでてると思われていてん。念仏寺の中でも、この蛤石の位置付けが結構重要やねんなぁ。」
有馬温泉の先達の太閤秀吉への思いが、この沙羅樹園に込められているのかもしれませんね。貴重なお話をありがとうございました。
この念仏寺では、6月17日(日)、18日(月)の2日間、沙羅の花と一弦琴の鑑賞会が開催されます。
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