むかしむかし、ひとりの病人がいました。
眼の上に大きなこぶが出来たので、有馬温泉に入り、薬師如来様にお祈りして治そうとしました。
はるばると、有馬まで来て温泉につかり治そうとしましたが、残念ながら病は治りませんでした。仕方なく、病人はすごすごと有馬を後にしました。
ところが、有馬の東のはずれにある坂道にさしかかると、突然、熟した果物が木から落ちるように眼の上のこぶがポロリと取れました。
それを聞いた人々は、この坂を「こぶ坂」と呼ぶようになりました。
有馬温泉から瑞宝寺に通じるこの坂道は、今ではきれいに舗装されています。