有馬温泉から車で六甲山を越えますと、約30分でミナト町・神戸が見えてきます。瀬戸内海に面し、風光明媚な神戸は、古くから中国大陸への玄関口として栄え、明治になると、外人居留地が設けられ、国際貿易港として発展しました。
今回の有馬ナビでは、「神戸港クルージング」および「神戸港の歴史・観光スポット」をご紹介します。神戸港クルーズでは、六甲山系を背景に神戸の街並みの素晴らしいパノラマ展望を海上からお楽しみいただけます。有馬の温泉街と対照的な異国情緒漂う港町にも是非お立ち寄り下さい。



     ■ルミナス神戸2
     ■明石海峡大橋
     ■神戸港
     ■海軍操練所
     ■網屋吉兵衛の碑
     ■メリケン波止場
     ■神戸海洋博物館
     ■神戸ポートタワー

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神戸港クルージング

ルミナス神戸2

今回は、数ある神戸のクルージングの中でも一番豪華な「ルミナス神戸2」に乗船してきました。白い帆船イメージの屋根の神戸海洋博物館から南に徒歩約5分の神戸メリケンパーク・オリエンタル・ホテルの2階でチケットを購入し、そこから乗船できます。「ルミナス神戸2」の1000人乗りの大きな船体には圧倒されます。船内に入ると大きなエントランス・ロビーがあります。この船では、船上パーティーや結婚式を開くことが出来ます。





今回は「明石海峡周遊」のディナー付きコースを体験しました。午後7時に出港のドラが鳴り響きますと、間もなく海を眺めながらのお食事タイムになります。食事の途中で自由にデッキに出ることもできます。船はまず神戸港の内海を出て瀬戸内海を西に進みます。右手には神戸の港や山々、左手には淡路島が遠く望めます。しばらくすると明石海峡大橋に到着します。真っ白に光輝く真珠の巨大な首飾りが暗い海の上に連なっている幻想的な光景に感動します。橋の下を通過する際の眺めは圧巻です。真上に橋が近づいてくると、車が走っているのもよく見えます。


橋の西側で大きく旋回した船からは、8時ちょうどに虹のようなカラフルな七色でライトアップされた橋が視界一杯に広がって見えます。船が神戸港の方向に向きを変える頃には、橋の照明が七色から再び真珠のような輝く白に変わっていました。メリケンパークに戻る途中には、ハーバーランドのモザイク・ガーデン、多彩にライトアップされた大観覧車、ポートタワー、豪華客船、山頂近くの神戸市のシンボル、立ち並ぶ高層ビルなどが次々と暗く沈んだ山並みを背景に目映く浮かび上がる光のオブジェに見とれている内に、9時20分メリケンパークに帰着しました。


「ルミナス神戸2」
4778トン、1000人乗り
レストラン船としては国内最大級です。明石海峡大橋の真下を通過する時の感動は真にエレガントです
営業時間
12:00〜21:20
1日3便
一周90〜140分
料金:明石海峡周遊
    大阪湾周遊
大人3150円
大人2100円
小人1580円
小人1050円
それぞれ食事代は、含まれていません。
乗り場
中突堤旅客ターミナル: メリケンパーク・オリエンタルホテル2F
TEL
078‐333‐8414
ルミナス観光


■その他のクルージング・インフォメーション

「コンチェルト」
2138トン、604人乗り
世界的な"烹任大師"鍾総料理長による新感覚中華"ヌーベル・シノワ"などを生演奏とともに。明石海峡大橋までのゴージャス・クルージングです。
営業時間
12:00〜21:05
1日4便
一周90〜105分
料金
大人1800円
小人900円
乗り場
ハーバーランド高浜岸壁(モザイク前)
TEL
078‐360‐5600
神戸クルーザー


「パルデメール」
684トン、460人乗り
グッドデザイン賞受賞のスタイリッシュな船。パルデメール「明石海峡大橋クルーズ」神戸グルメにイベント満載。
営業時間
12:30〜20:45
1日5便
40〜135分
料金
大人900円〜
小人450円〜
乗り場
中突堤中央ターミナル(かもめりあ)
TEL
078‐331‐6667
神戸観光汽船

港めぐり「すずかけ」
190トン、450人乗り
1950年〜日本最古の「港内遊覧船港めぐり」です。毎時00分出航で、ハーバーランド大観覧車前にも寄港します。
営業時間
10:00〜20:25
1日11便
一周25〜45分
料金
大人600円〜
小人300円〜
乗り場
中突堤中央ターミナル(かもめりあ)
TEL
078‐331‐6667
神戸観光汽船


明石海峡オーシャンクルーズ
「シーグレース」

190トン、200人乗り
ベイエリアを出航したシーグレースは瞬く間に進み、明石海峡大橋へと向かう快適でスピーディーな船旅です。
営業時間
12:45〜19:00
1日4〜7便
一周50分
料金
大人1000円
小人500円
乗り場
中突堤中央ターミナル(かもめりあ)
TEL
078‐360‐0731
神戸シーバス


神戸港クルーズ
「ロマン」

60トン、136人乗り
神戸の街を海上からお散歩感覚でご案内します。また、土・日・祝日は、メリケンパーク東からも出航します。
営業時間
11:30〜19:15
1日6〜8便
一周30〜45分
料金
大人700円
小人350円
乗り場
中突堤中央ターミナル(かもめりあ)
TEL
078‐360‐0731
神戸シーバス


「ポートオブコウベ」
145トン、300人乗り
神戸港内遊覧に加え、明石海峡大橋の遠望や完成間際の神戸空港もごらん頂けます。喫茶・軽食も完備しています。
営業時間
10:45〜18:05
1日7便
一周50分
料金
大人900円
小人450円
乗り場
中突堤中央ターミナル(かもめりあ)
TEL
078‐360‐0039
神戸ベイクルーズ


「ベイ ムラマサ」
69トン、200人乗り
神戸港内と大阪湾へと高速で広くご案内し、2F展望デッキで360度のパノラマをご覧いただけます。
営業時間
10:45〜18:05
1日7便
一周50分
料金
大人900円
小人450円
乗り場
中突堤中央ターミナル(かもめりあ)
TEL
078‐360‐0039
神戸ベイクルーズ



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トリビア情報


☆世界一長大な明石海峡大橋

明石海峡大橋は橋長3911m、中央支間長1991m、主塔高さ海面上約297mで世界最長の吊り橋です。建設に使われた材料は、アンカレイジや主塔基礎に使われたコンクリートが約142万立方メートル、それらに支えられる主塔、ケーブル、橋桁などの鋼材が約20万トンと他に類を見ない規模です。このため、厳しい自然条件に耐えられるよう、細心の注意と工夫がなされ、暴風は風速80m、地震はマグニチュード8.5クラスという、共に150年に1回程度の激しいものにも耐えられるように設計されています。




しかし、阪神・淡路大震災の影響で、3P主塔(淡路側)の基礎が地盤ごと1.1mずれたため、中央支間長が1,991m、橋の全長が3,911mとそれぞれ当初計画より少し伸びましたが、工事は続けられ,1998年4月供用開始にこぎ着けました。「中央支間長」、つまり橋脚のない吊り橋部分を比較しますと、世界第2位はデーマークのグレートベルト・イースト橋 1624m、第3位はイギリスのハンバー橋の1410mとなっており、明石海峡大橋が世界的にも非常に長大な吊り橋であることが分かります。なお、日本で第2位の南備讃瀬戸大橋は、1100mで世界第10位です。


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神戸港の歴史・観光スポット

神戸港の生い立ち
<詳しくは、龍泉閣ホームページ・
    風土と歴史「神戸港の歴史」をご覧下さい>


神戸は、古代の律令体制下で神社に属して、租・庸・調といった税金を納め、神社の祭祀を支え、維持修理にあたった「神戸(かんべ)」という人々にちなんだ地名であると言われています。神戸の歴史は、垂水区大歳山から出土した石器などから、旧石器・縄文時代にさかのぼります。瀬戸内海に面している神戸は、古くから貿易港として発展し、奈良時代には、「務古水門」や「大輪田の泊」が玄関口となり、中国大陸および朝鮮半島と交流しました。




平安時代末期、中国・宋との貿易に注目した太政大臣の平清盛は、その拠点として大輪田泊の修復を行い、既に西国への陸海路の要衝だった、この港がさらに発展する足掛かりを築きました。清盛は大陸貿易を重視し、1180年6月に現在の兵庫区に遷都し、福原京を設けました。しかし、天皇以下の強い反対によって、わずか半年で京都が再び都になりました。その後、室町時代以降は、「兵庫の津」と呼ばれていましたが、応仁の乱以降の戦乱で兵庫の町が荒廃した後は、海上貿易の中心を堺に譲り、江戸時代には鎖国政策で外国貿易も途絶えました。

しかし、秀吉が堺の商人を大阪に移し、1672年に徳川幕府の命で河村瑞賢が西廻り航路を開いて以来、神戸は大阪の外港として大阪〜瀬戸内海〜日本海沿岸を結ぶルートの要衝になります。幕府は当初、大阪商人を保護し、兵庫を圧迫する方針を採っていましたが、自然の良港を持つ兵庫は瀬戸内海第一の集散市場となるなど、その発展を抑えることは出来ませんでした。王政復古の2日前、1868年1月1日の兵庫開港によって活気を取り戻し、居留地には多くの外国人が住むようになり、国際貿易港として発展しました。



1863年、鎖国政策の崩壊で海防の必要性が高まっていた折に、軍艦奉行の勝海舟は神戸に海軍操練所を設立することを14代将軍 家茂に建白しました。これは海軍兵学校と海軍機関学校を兼ねたものであり、日本に欧米並みの海軍を建設するための足がかりを作ろうとしたものです。








彼が神戸を選んだ理由は、江戸時代末期に元呉服商の網屋吉兵衛が築いた「船たで場(ふなたでば)」と呼ばれる船底の貝殻やフナムシなどを焼く施設、つまり「ドッグ」を利用できると考えたからです。1964年に約200名の生徒を募集しますが、反幕府派の生徒が池田屋騒動や蛤御門の変に関与したことが問題となり、勝は軍艦奉行を免職となり、操練所はわずか1年で閉鎖されてしまいます。



操練所の開所期間は非常に短かったものの、 その間に坂本龍馬・伊藤博文・陸奥宗光などの人材を育て、 日本海軍の歴史にも大きな足跡を残しました。神戸市中央区新港町に、錨(いかり)の形をした「神戸海軍操練所」の記念碑が建っており、直ぐ近くの新港第一突堤の付け根あたりには、 網屋吉兵衛の顕彰碑もあります。海軍操練所は、東西が関西電力神戸支店から"いかりの碑"がある辺りまで、南北が阪神高速京橋出入口付近から国道2号線辺りまで、約1万7千坪の敷地を占めていたと推測されています。




現在、鯉川筋は暗渠になっていますが、昔はそこを鯉川が流れていました。1968年、明治政府はその河口付近、居留地の西端に長さ18m、幅11mの荷揚げ場を造り、第3波止場としました。後に第2波止場と改称しましたが、波止場のすぐ前に開港以前に開設された米国領事館があったことから、"メリケン"(アメリカンの訛り)波止場と呼ばれるようになりました。神戸港がまだ完備していない頃は、沖合いの本船との連絡は、この波止場から出るランチや通い船でしていました。戦時中は「万国波止場」と呼ばれていました。
















1894年に現在の大桟橋が竣工し、1896年には防波堤が完成したため、欧米に並ぶ規模の港となり、クイーン・エリザベス2世号や照國丸など、世界の名だたる豪華客船のターミナル港となりました。阪神・淡路大震災では、旧波止場にあたる護岸部分が崩壊しましたが、被害のすさまじさを後世に伝えるため、現在も大震災直後の状態でメリケンパークの中に保存されています。




神戸開港120周年を記念し、1987年に開館した世界でも有数の「海・船・港」の総合博物館です。帆船と波をイメージしたユニークな外観がオシャレな真っ白い建物で、ミナト神戸にピッタリです。海に関する様々な展示や、神戸港の歴史を紹介するコーナーなどがあります。また、船の入港シミュレーションなど、遊び感覚で学べる施設が一杯のスポットです。





展示室では、多重映像や360度マルチ・スクリーンなど臨場感あふれる最新映像システムが見応え十分でお奨めです。屋外では未来の船、超電導電磁推進船「ヤマト1」(実物)が公開されており、マニアには見逃せません。
海を通じて知り合った少年少女への海の詩・全天全周映画「海からの招待状」、 神戸港の歴史と未来をSFXで表現する「アドベンチャー神戸」などが好評です。 その他、豪華クルーザーの操舵室をリアルに再現した「現代船操舵室」なども見どころです。






所在地
神戸市中央区波止場町2-2 メリケンパーク内
TEL
078‐391‐6751
交通機関
◆JR・阪神「元町」、神戸高速鉄道「花隈」駅下車 南に徒歩10分
◆市バス90系統「メリケンパーク」下車すぐ
営業時間
10:00〜17:00 (入館:〜16:30)
休館日
毎週月曜日 (祝日の場合、翌日が休み)
料 金
◆大人600円 小・中学生300円
◆(ポートタワーとの共通券)大人900円 小・中学生450円
駐車場
メリケンパーク駐車場、中突堤中央中ターミナル駐車場:乗用車700台分





高さ108mのタワーで、1963年の開業以来、ミナト神戸のランドマークとして親しまれています。オープン以来、2千万人近い観光客が訪れています。32本の真紅のパイプ型縦材で形成される優美な鼓(つづみ)形のラインが夜間にはきれいにライトアップされます。隣接する海洋博物館の帆船イメージの屋根との紅白のコントラストが映えて、幻想的な雰囲気です。
















最上階には、"回る"喫茶店と展望台があり、回転展望喫茶店では、南側に関西空港、北側に六甲山系の山並みなど、360度の大パノラマが年間を通じて楽しめます。神戸港のすべてが手に取るように見えるだけでなく、天気の良い日なら、西に淡路島、東に大阪平野から生駒山、南に和泉山系といった遠景も眺められます。特に素晴らしいのは、六甲山系を背にして東西に広がる神戸市街地で、1千万ドルの夜景と謳われています。





複雑な網目状に組上げられた鼓形構造には柔軟性があるため、阪神・淡路大震災でも、エレベーターが損傷しただけで、タワーの構造自体には大きな損傷を受けることもなく、神戸のシンボルであるタワーが倒れなかったことは、神戸市民を大いに勇気づけました。





所在地
神戸市中央区波止場町5-6
TEL
078‐391‐6751
交通機関
◆JR・阪神「元町」、神戸高速鉄道「花隈」駅下車 南へ徒歩10分
◆市バス 90系統「メリケンパーク」下車すぐ
営業時間
9:00〜19:30 (季節により変更、要確認)
(12〜2月:〜17:30、8月:〜20:30)
休館日
年中無休
料 金
◆大人600円 小・中学生300円
◆(ポートタワーとの共通券)大人900円 小・中学生450円
駐車場
メリケンパーク駐車場、中突堤中央ターミナル駐車場:乗用車700台



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トリビア情報


☆日本で最長の国道と最短の国道

全国の国道は1〜58号線と101〜507号線があり、欠番の6ルートを除くと、459路線あります。日本一長いのは国道4号線で、東京の日本橋から青森市の青い森公園まで約742kmあります。逆に、一番短いのは国道174号線です。神戸税関の南端から阪神高速神戸線の高架下を通る国道2号線までのわずか"187.1m"の距離なので、徒歩でも2分半で通過できる国道です。




神戸港が開港した明治初めからあった道路で、1953年に国道に指定されています。以前は、JR三ノ宮駅と神戸税関を結んでいた940mの道路でしたが、国道2号線のルート変更に伴い、1970年に「フラワーロード」部分が県道になったため、174号線の距離が大幅に短くなったわけです。
国道には、国が管理する「直轄国道」と、地方自治体が管理する「補助国道」があり、補助国道である174号線は、神戸市が管理しています。日本で2番目に短い国道が山口県岩国市の189号線で、全長372mあり、3番目が東京都港区の130号線で、482mですから大差があります。


今回の有馬ナビでは、「神戸港クルージング」と「神戸港の歴史・観光スポット」をご紹介しました。有馬温泉から車で約30分の港町神戸をお楽しみ下さい。次回の有馬ナビは、源氏物語の舞台にもなっている「須磨」地区をご紹介します。是非ご期待ください。(2004/7/1)

※このページは2004年7月に発行されたものです。
最新の有馬温泉と周辺観光地の情報は『龍泉閣日記』をご覧ください。



兵庫のホテル・旅館案内  

注)営業時間や料金などの情報は、発行された時点のものです。
詳しい情報は各施設にお問い合わせください。リンク、もしくはTEL番号をご参照ください。