舒明天皇 |
三日月のしほ湯にうつる影見れは
かた輪のなおる七日七日に |
柿本人麻呂 |
みな人のかさにぬふてふ有馬菅
ありての後もあはんとそ思ふ |
坂上郎女 |
なけきつゝ我なくなみだ有馬山
雲井たなびく雨にふりきや (万葉集) |
和泉式部 |
元よりも塵にましはる我なれは
月のさはりとなるそ物うき (有馬小鑑) |
小野小町 |
有馬ふじふもとのきりは
海ににてなみかととへは
をのゝ松かせ |
大弐三位
(紫式部の娘) |
有馬山いなのさゝ原風ふけは
いてそよ人をわすれやはする (百人一首) |
仁西上人 |
有馬山まだあかつきは程遠し
なおかきたてよのり法のともしひ (有馬小鑑) |
藤原俊成 |
有馬山雲間も見えぬ五月雨に
いて湯の末も水まさりけり (五社百首和歌) |
藤原定家 |
ゐな山の山の雫も色づきて
時雨もまたず更けくる秋かな (捨遺愚草員外)
有馬山おろす嵐の寂しきに
霰ふるなりゐなのさゝ原 (捨遺愚草員外) |
足利義詮 |
有馬山雪気の空に風冴えて
霰玉ちるゐなのさゝ原 (宝筴院殿御百首) |
宗 祇 |
有馬山薬師の鐘の声きけは
諸病無病ときくそたうとき |
読み人知らず |
有馬山諸国のふしをうたう湯女 (1763年、宝暦13年) |
西行法師 |
津の国の鼓が滝に来てみれば
岸辺に咲けるたんぽぽの花 |
沢 庵 |
すみ濁る心はふたつ荒川の
滝見るときはたきの白糸 |
蓮 如 |
さかこしてゑにし有馬の湯舟には
けふそはしめて入そうれしき
(有馬道の記)
日数へて湯にやしるしの有馬山
やまひもなおりかへる旅人
(有馬道の記)
老の身の命いままでありま山
又湯入らん事もかたしや
(有馬道の記) |
秀 吉 |
月も日もいのち有馬の湯にうつり
やまひはなしの花とちりけり
つもりきて今こそまいるごくらくへ
只一すぢにみだのじょうどへ |
本居大平
(本居宣長の養子) |
津の国の有馬の山に出づるゆの
塩湯のみゆの出湯しよしも (有馬日記) |
本居宣長 |
出ゆかば心ありまの水ぐきぞ
よにもあやしくわき出にける
有馬筆ひょいと出たる言のはも
人形よりはめづらしきかな |
竹久夢二 |
有馬笠笠に姿はつつめども
わが恋妻は人も知りきや (山へ寄する) |
高浜虚子 |
六甲の裏の夜寒の有馬の湯 |
五十嵐播水 |
有馬籠 編む夏のれんふくれつつ |