毎年6月の有馬温泉では、有馬川で群舞する幻想的なホタルや念仏寺の沙羅双樹の花を観賞するため、大勢のお客様が各地からお越しになり、梅雨の晴れ間の陽射しの下で、温泉街の散策をお楽しみいただいております。
今月号の有馬ナビでは、「北神戸の観光スポット」と題して、六甲連山の北側に点在するご家族連れにオススメの観光スポットをご紹介いたします。
大勢のお客様に神戸〜有馬温泉にお越しいただけますよう、龍泉閣スタッフ一同お待ち申し上げております。
神戸電鉄「箕谷」駅で下車し約10分歩くと、山田中学校の隣に天彦根神社がありますが、その境内に、江戸時代から伝わる「下谷上農村歌舞伎舞台」が保存されています。この舞台は、江戸末期1840年に建てられ、村祭りの時に農民自身によって歌舞伎や演劇が演じられました。江戸時代には原則として農民が芝居を観たり演じたりすることは禁じられていましたが、実際には神社に奉納するという口実でこのような農村歌舞伎舞台が各地に盛んに建てられ、兵庫県下には約170棟あります。
かやぶき屋根で本殿内部の木彫りの彫刻が見事な上に、直径約6mの皿廻し式の廻り舞台や釣り天井などさまざまな仕掛けが工夫されており、全国で唯一つ花道の一部が回転して反り橋が出てくるなどの特色から国の重要有形民俗文化財に指定されています。なお、1977年に不審火で焼損しましたが、2年後に修復されました。
バス停「大滝口」の近くに荒れた民家がありますが、ここは8世紀に淳仁天皇に仕えていた矢田部郡司の山田左衛門尉真勝の屋敷跡と伝えられており、庭の片隅に兵庫県指定史跡「栗花落の井」の標石があります。
彼は右大臣の二女・白滝姫に身分違いの恋をしましたが、天皇の仲介で二人は結婚します。矢田部郡に伴った姫は3年後に病気で亡くなりますが、その墓の前に泉が湧き出します。毎年5月、栗の花が落ちる頃になると清水が湧き出し、秋になると止まるという不思議な井戸があると伝え聞いた天皇は、真勝に「栗花落」という姓を与え、井戸も「栗花落の井」と名付けられたと言います。
湯山街道(ゆのやまかいどう)に沿って流れる山田川の上流に呑吐(どんと)ダムがありますが、その近くに、日本最古の日本家屋、箱木千年家(はこぎせんねんや)があります。ダム建設によって湖底に沈んでしまうため、1979年に2年がかりで約70m離れた高台に移転しました。箱木家は、中世末期に三木の別所家に仕えた地侍であり、江戸時代には、衝原(つくはら)の庄屋でした。この民家は1200年前に建てられたので、千年家と呼ばれ、国の重要文化財に指定されています。
アクセス | 神戸電鉄「箕谷」駅で市バス111系統に乗車、「衝原(つくはら)」バス停で下車、徒歩3分。 |
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見学時間 | 2〜10月 9:00〜18:00、11〜2月 9:00〜17:00 |
定休日 | 年末年始(12/29〜1/1) |
見学料金 | 大人300円、小・中学生150円 |
駐車場 | 15台分 |
TEL | 078-581-1740 |
三木市・有馬温泉・西宮市生瀬を結ぶ道を湯山街道と言います。湯山(ゆのやま)というのは、有馬の旧称で、湯山街道は、有馬温泉への道を指します。有馬・三木間の湯山街道は、北周りの淡河道と南回りの山田道がありました。山田町の中央を流れる山田川に沿って、東西に走る街道は山田道と呼ばれ、古代から山陽道の裏街道として利用されてきました。
神戸電鉄「箕谷」駅から市バス「衝原(つくはら)」行きに乗り、「丹生(にう)神杜前」で下車すると、標高514mの丹生山(たんじょうざん)の登山口があります。鳥居をくぐり200mほど直進すると、丹生神杜の宝物殿があり、ここに清盛が寄進した「当山景画大幅」や秀吉公朱印折紙などの文化財が展示されています。(注:観覧ご希望の際は、事前予約が必要です。)
丹生山の山頂には、かつては明要寺(丹生寺)もありましたが、今では丹生神社だけが残っています。1200年前に編纂された播磨風土記にも、「神功皇后が新羅へ出兵の時、丹生山田の丹生都比売(にうつひめ)から悪霊を追い払う丹(赤土・あかに)を貰い、すべて真っ赤に塗って出かけ、無事に帰った」と記されており、丹生神社には、古代から丹生氏の氏神として、丹生都比売命が祀られています。福原遷都を行った平清盛は、この山を比叡山になぞらえて、王城鎭護を願って山頂に山王日吉(さんのうひえ)神杜を祀りましたが、明治の初めに日吉神社から丹生神社と改称されました。
百済の聖明王の太子(童男行者)が日本に仏教を伝えるためにやってきて、明石に上陸、552年に明要寺を建立したと伝えられています。中世には明要寺は大いに栄え、多数の僧兵を抱えていました。秀吉の三木城攻めに際しては毛利方として大いに抵抗したため、怒った秀吉は丹生山を焼き打ちし、1579年明要寺は焼失してしまいます。その折に焼殺された数多くの稚子を村人たちが葬ったのが稚子ヶ墓山です。明要寺は、後に秀吉によって再興されましたが、明治維新後の廃仏棄釈で廃寺となりました。
神戸市バスの「丹生神社前」バス停の東南、約200mの所に鷲尾氏屋敷跡があります。義経の軍勢の道案内をした鷲尾経春の館があったと伝えられていますが、粗末な納屋の前に、石灯寵が残っているだけです。1184年の「一の谷の合戦」では、経春が義経一行を道なき道を通って鵯越(ひよどりごえ)まで案内した功績により、武将に取り立てられ、山田に土地を与えられと言われ、屋敷跡の南にある鷲尾山には、今も鷲尾一族の墓地があります。
藍那(あいな)から衝原(つくはら)に続く藍那古道は、義経一行が南麓の坂本へ下る時に利用したと伝えられており、義経道とも呼ばれています。昔は生活道として賑わいましたが、今では、もっぱらハイキングコースとして親しまれています。
神戸電鉄箕谷駅前で「衝原(つくはら)」行き市バスに乗車、「福地」バス停から徒歩15分で、無動寺に着きます。寺の境内の西側の一段と高い所に、1297年に橘長綱が建立した「若王子(にゃくおうじ)神社」があります。元来は、無動寺の鎮守社で、若王子権現と呼ばれていましたが、明治初年の神仏分離令によって、無動寺から分離されました。1408年に橘光綱が建築した社殿が今も残っており、国の重要文化財に指定されています。三間社流造りの小さな社殿ですが、竪板葺きの屋根や棟木の飾板(懸魚・げぎょ)の彫刻などが見られ、室町時代前期の建築技法を知る上で貴重な建物です。
神戸電鉄箕谷駅前で「衝原(つくはら)」行き市バスに乗車、「福地」バス停から徒歩15分で、若王山無動寺(にゃくおうざんむどうじ)に着きます。聖徳太子により開基されたと伝えられる真言宗のお寺です。元来は、「福寺」と呼ばれていて、地名の福地もこの寺から名付けられました。明治維新後の廃仏毀釈の折に廃寺とされましたが、福寺の末寺の無動寺の名を使って再興したと言われています。平安時代に作られ、国の重要文化財に指定されている仏像が5体ありますが、ご本尊の大日如来座像は、聖徳太子が鳥仏師に刻ませたと伝えられる、ヒノキ材の寄木造りの巨大な仏像で高さが2.8mもあります。また、この寺の周辺の丹生山田の里は、「土地文化環境保存地域」に指定されています。
無動寺から10分ほど坂道を下ると、山田川近くの田園風景の中に、応神天皇を祀る六条八幡神社が見えてきます。平安時代中期に創建された神社ですが、この地を領有していた源頼朝の祖父の為義が京都六条にある八幡神社分霊を合祀したため、六条八幡神社と呼ばれるようになりました。
1688年に再建された本殿は、瓦葺き入母屋造りです。その横には、1466年に地元の有力者の鷲尾綱貞によって建てられた三重塔があります。高さ約13mで、屋根は檜皮葺き(ひわだぶき)の優美な塔で、国の重要文化財に指定されています。神社の境内に塔があるのは珍しく、兵庫県下では3ヶ所だけと言います。その他、境内には、能舞台や大銀杏、神功皇后が沐浴されたと伝えられる井戸などがあります。
六條八幡宮の前を東へ200m歩くと、台座に「新兵衛石」と刻まれた、丸い大きな石があります。四代将軍、徳川綱吉のころ、年貢軽減の直訴をした少年が隠れていた石だそうです。当時、直訴は死罪という時代でしたが、年少のため許され年貢も軽減されたと伝えられています。
緑と季節の花で一杯の環境に恵まれたキリンビールの工場では、ビール・発泡酒の原材料から始まって、商品が完成するまでを気軽に見学できます。原材料展示コーナー → 麦汁の味体験コーナー → パッケージング工程 → 味わい広場 → お土産コーナーまで約40分の見学コースをお楽しみください。できたてのビールを試飲したり、手づくりビールに挑戦したりできます。また、丘の上にあるビアレストランでは、広大な自然を眺めながら美味しくお食事ができます。
アクセス | JR・神戸電鉄「三田」駅から缶ビール形の「ラガーバス」で無料送迎があります。(ただし、団体での乗車不可) |
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見学時間 | 9:30〜16:00(ただし、見学不可の場合もあります) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は、開館) |
入館料 | 無料 |
駐車場 | 若干台数 |
TEL | 078-986-8001 |
2007年7月、「神戸三田プレミアムアウトレット」がオープンしました。98店舗、87種類のブランドショップが集まった西日本で最大級のブランド・アウトレットモールです。有馬温泉にご宿泊の上、ここでお買い物されるお客様も大勢いらっしゃいます。お車では、有馬温泉から約20分です。(詳細は、神戸三田プレミアムアウトレットのページをご覧ください。)
アクセス | ・JR・神戸電鉄「三田」駅から神姫バス:片道250円 ・JR「三ノ宮」駅から神姫バス:片道650円 (土・日・祝のみ1日3往復) ・六甲北有料道路 「長尾ランプ」より一般道 約1.1km ・中国自動車道 「神戸三田IC」より一般道 約3.5km |
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営業時間 | 10:00〜20:00(※7〜8月は、10:00〜21:00) |
休業日 | 2月の第3木曜日のみ |
駐車場 | 2800台分 |
TEL | 078-983-3450 |
呑吐(どんと)ダムは、高さ71.5m、長さ260m、貯水量1780万m3のコンクリート重力式ダムで、志染川や山田川にかかるダムです。三木市、神戸市北区、東播磨各地へ生活用水や農業用水を供給するため、1986年に建設されました。呑吐ダム自体は三木市にありますが、ダム湖である衝原湖(つくはらこ)は、三木市と神戸市北区にまたがっており、その面積は105ヘクタールあります。ダムの建設前は志染川や山田川の上流に大小の滝があり、それらが川の水を呑んでは吐き出している様子から「呑吐(どんど)の滝」と呼ばれていたので呑吐ダムと名付けられました。ダムの周辺にはサイクリングコースがあり、貸し自転車場もあるのでシーズンには家族連れで賑わっています。
北神戸の広大な自然の中で、中世ヨーロッパのルネッサンス様式の建物や庭園を中心に、花と果実、 バイオテクノロジーのテーマ館など数多くの施設が広がるガーデン・リゾートパークです。 9種類の露天風呂やサウナが楽しめる「バーデハウス」、神戸牛の「ビーフ館」、神戸ビール、ワイン、ブランデーの展示販売館、観覧車やジェットコースターなどお子様向けの乗り物がいっぱいの「神戸おとぎの国」、フィールドアスレチックやフルーツ狩り(7〜8月:スモモ、モモ、ブドウ、ナシ; 9〜10月:リンゴ、クリなど)などで、四季折々ご家族で一日中お楽しみいただけます。(詳細は、有馬ナビ#55「親子で楽しむ神戸市立フルーツフラワーパーク」をご覧ください。)
アクセス | ・六甲北有料道路「大沢IC」から直ぐ ・JR三田駅から無料送迎バス(駅前のマイクロバス乗降場より乗車) ・神戸電鉄「岡場」駅から神姫バス・市バスに乗車、「フラワーパーク」で下車 |
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開園時間 | 9:00〜17:00(園内施設は別) |
休園日 | 年中無休 |
入園料 | 大人500円、小・中学生250円(17:00〜 無料) |
駐車場 | 500円/台(17:00〜 無料) |
TEL | 078-954-1000(代) |
道の駅「淡河(おうご)」は、政令指定都市では初めての道の駅として、2003年にオープンしました。中国自動車道の「吉川IC」から国道428号線に入って南へ約15分車を走らせた所にあります。ここでは、地元で採れた生鮮野菜・コメ・花・農産加工品を販売する直売所や、地元産のソバを100% 使用した「十割手打ちソバ」がオススメメニューの食堂もあります。道の駅の南側の小高い丘の上に淡河城跡があります。城跡自体は堀の痕跡が残っているだけですが、のどかな農村風景を一望できます。
営業時間:10:00〜16:00
今回の有馬ナビでは、一般に余り知られていない「北神戸の観光スポット」についてご紹介しました。次号では、「明石の観光スポット」について特集する予定です。これからも、有馬温泉とその周辺の観光スポットを引き続きご紹介して参りますので、ぜひご期待ください。(2008/5/25)
※このページは2008年5月に発行されたものです。
最新の有馬温泉と周辺観光地の情報は『龍泉閣日記』をご覧ください。
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