有馬温泉から車で六甲山を越えると、約30分でミナト町・神戸が見えてきます。瀬戸内海に面している神戸地区は、古くからミナトとともに発展してきました。奈良時代以降は、中国大陸への玄関口として栄えました。鎖国下の江戸時代には大阪〜日本海側を結ぶルートの要衝となります。明治維新後は、国際貿易港として発展し、阪神・淡路大震災では大きな被害を受けましたが、2年間で復旧し、東アジアのマザーポート化を進めています。 有馬温泉にお越しの際には、異国情緒漂うミナト町に是非お立ち寄りください。 |
古代、律令体制下で神社に属して、租・庸・調といった税金を納め、神社の祭祀を支え、維持修理にあたった「神戸(かんべ)」という人々にちなんだ地名であると言われています。神戸の歴史は、垂水区大歳山から出土した石器などから、旧石器・縄文時代にさかのぼることが出来ます。瀬戸内海に面している神戸は、古くから貿易港として「ミナト」とともに発展を遂げてきました。奈良時代には、「務古水門」や「大輪田の泊」が玄関口となり、中国大陸および朝鮮半島と交流しました。 |
太政大臣になって間もない平清盛は、中国・宋との大陸貿易に注目し、その拠点として、大輪田泊の修復、1174年には「経ヶ島」の築造を行いました。既に西国路への陸海路の要衝だった港がさらに発展する足掛かりを築きました。また、わずか半年足らずですが、1180年には現在の兵庫区を中心とした地域に福原京を設け遷都しました。しかし、一の谷で敗走した平氏に代わって登場した源氏は、本拠を鎌倉に置いたために、神戸との関係は歴史上ほとんど出てきません。 その後、荘園の発達で年貢輸送船が盛んに往来するようになり、兵庫関が置かれました。鎌倉幕府の崩壊、建武中興、湊川合戦(1336年)を経て、室町幕府が始まりました。室町時代には、足利義満・義教らが兵庫をたびたび訪れているように、兵庫は中国大陸の明との貿易の中心地として栄えました。室町時代以降は、「兵庫の津」と呼ばれていましたが、応仁の乱以降の打ち続く戦乱によって町は荒廃し、海上貿易の中心を堺に譲り、さらに江戸時代に入ると、幕府の鎖国政策で外国貿易も途絶えました。 |
堺に繁栄の座を譲った兵庫が再び台頭してくるのは、豊臣秀吉が堺の商人を大阪に移してからです。1672年に徳川幕府の命で河村瑞賢が西廻り航路を開き、兵庫の町には宿駅も設けられました。幕府は当初、大阪商人に特別の保護を与え、兵庫を圧迫する方針を採っていましたが、自然の良港を持つ兵庫は瀬戸内海第一の集散市場となるなど、その発展を抑えることは出来ませんでした。神戸は、大阪の外港として大阪〜瀬戸内海〜日本海沿岸を結ぶルートの要衝になります。そして、安政の仮条約を経て、まだ一寒村に過ぎなかった神戸に海軍操練所が置かれました。 |
王政復古の二日前、1868年1月1日の開港によって兵庫は再び活気を取り戻し、急速に近代化していきます。町には県庁や裁判所などが置かれ、居留地には多くの外国人が住むようになりました。その後、人・物・情報が行き交う拠点として、また、国際貿易港として常に最新施設を整備し、世界を代表する港に発展しました。1894年に現在の大桟橋が竣工、1896年の防波堤の完成で欧米に並ぶ規模の港となり、世界の名だたる豪華客船のターミナル港となりました。 明治維新時に2万人だった人口も1889年の市制施行時には13万人に増加。さらに市勢の発展と周辺市町村との合併で1941年には100万人都市へと発展しました。多様な外国文化と直に接してきた風土や気質は、現在も神戸の街角や市民の心に根付いています。しかし、1938年の阪神大水害、さらには、1941〜45年の太平洋戦争を経た頃には人口が38万人と、約3分の1にまで減少しました。 戦後は、民間貿易の再開や朝鮮戦争特需、さらに1950年代後半の高度経済成長によって復興のテンポは早まり、市勢もそれにつれて回復していきました。1981年に、ポートアイランドの完成を記念した「ポートピア’81」、1985年に「ユニバーシアード神戸大会」を開催し、ファッション、コンベンション、観光都市として独自の情報を発信する都市・神戸をアピールしました。1993年には、市内全域を舞台に「アーバンリゾートフェア神戸’93」を開催し、市民中心の都市づくりの足掛かりを得ました。その後、1995年の阪神・淡路大震災により神戸港も甚大な被害に遭いましたが、わずか2年間で主な施設の復旧を終え、以後は、東アジアのマザーポートづくりを進めています。 |
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